第256章

江口蘭は、自分が天瀬震を焚きつけ、丹羽百郎に手を出させたのだと認めた。

当時の江口蘭は憎しみに目がくらみ、丹羽百郎への復讐の糸口すら見つけられずにいた。そんな折、天瀬震のほうから近づいてきて、資産運用の顧問として雇いたいと言ってきたのだ。

――天が味方した、と江口蘭は思った。

天瀬震は小学校卒で、度胸はあっても先の読めない男だった。謀略だの言葉の罠だの、そういうことはからきし苦手。しかも当時は、帝都での市場開拓に焦っていた。

江口蘭が少しでも悪だくみを混ぜれば、天瀬震は簡単に丹羽百郎のもとへ乗り込んだ。

丹羽百郎は何度も協業を断った。天瀬震は面目を潰されて怒り、江口蘭はそこへ「少し...

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